政治は誰のためにあるのか2008/12/10 07:57

不況の進展による急速な業績悪化により、企業が一斉に派遣社員や期間労働者を手始めに余剰人員を切り捨て始めた。
存続の為のなりふり構わぬ行動原理なのだろうが、実はそれどころの話ではなく、下請けへの発注が軒並み極端に細っている為、中小企業の倒産が爆発的に増加する勢いだと言う。
これは言うまでもなく極めて深刻な事態だ。

「国民の生命と財産を守る」ことが政治の目的の一つならば、こうして大量の失業者が日々生まれている事態を放置できる訳がないのだが、我が政府に一体どれだけの危機感と使命感があると言うのだろうか。
政治延命の為、補正予算の審議さえ年明けに先延ばしし、困窮する国民を尻目に空しいイメージCMと首相の意味のないパフォーマンスばかりを繰り返す。これでは、まるでどこかの独裁国家の振る舞いそっくりではないか。
政治が一部の権力者の為のものに成り下がった時、民の辛苦は否が応でも増して行くのだが、曲がりなりにも民主国家であるはずのこの国には、それを食い止める手段はまだ残されているはずだ。

派遣切りーこの惨状をもたらしたのは2008/12/26 08:19

直接的には、一部の経営陣と株主だけが大きな利益を得るという米国型経営の蔓延だろう。弱者の得るべき労働対価を根こそぎ一部の人間が吸い上げる構図で、経営者にとってはこれほど都合の良いシステムもない。
但し、本来は雇用機会の提供をはじめとした利益還元の社会的責任を当然伴うのだが、日本企業の経営者たちはもう長いことせっせと内部留保を積み重ねるだけで、従業員への還元など行っては来なかった。業績好調なのに給料が一向に上がらない構図だ。
この延長に不況時の派遣切りがあるのだが、そもそもこんな風潮が蔓延したのは、いわゆる「小泉改革」の時代からだ。
明確な分析や戦略なしの独りよがりと盲目的な米国の猿真似を改革と称し、自民党をぶっ潰すと言いながら実は派閥争いをしていただけで、結局日本の持っていた良き伝統·モラル·外国との差別化要素だけを破壊し、この国の今の混沌を生成してしまった小泉氏の罪は限りなく重い。
もちろん、それに便乗して日本型経営から弱者切り捨て経営に大きく舵を切った日本企業経営者の責任も追求されてしかるべきだ。